モグラボラトリ日誌

森薫のウェブ・サイト「モグラボラトリ」のブログ&コラムです。

【ブログ&コラム】2022年の3が日。

 元日は家で過ごした後に西友で買い出ししてお鍋。

 2日は午前中は家で、朝からお鍋の〆ラーを食べて、昼から夫の実家に行き夫の両親やお兄さんとおしゃべり。私がおすすめした映画get outを夫父が観てくれたそうでその話をした。映画中盤以降に起きる、監督にこちらが持っている映画鑑賞時の「枠組み」を見透かされて揺さぶられるようなあの感覚について。さらに夫母と、彼女が教えてくれた須賀敦子のエッセイについてお喋り。大人が友達とご飯を食べる、友達付き合いが濃厚にあるという描写が良い、と言ったら、共感してくれた。江國香織の小説もそういうところあるわよね、そういえば江國香織須賀敦子のファンなんだって、云々。

 夫の両親と話していると、友だちの話がいっぱいでてくる。学友、コミュニティの友…年齢を重ねてもずっと「つるめる」友だちがいるって素晴らしいと思う。夫も友だちを非常に大事にする人間だが、それはこの家で培われたのだろう。
 今回の訪問では、夫母が、「あなたたちにスプーンを買った」といって3本のティースプーンをくれた。そして「これ(2本)はあなたたちの分、これ(1本)は薫ちゃんがいつも遊んでるって言ってた江古田の友だちの分」と!私には近所に住む大親友がいるのだが、彼女の分を用意してくれたのだ。義母が私の友だちのことを思ってくれるなんて、これ以上に幸せなことはない。

 それにしても、私は嫁業という言葉と完全に無縁である(注:嫁業粉砕と声高に叫ぶつもりはない。「家族」なのであれば各人が心地よく納得いく過ごし方を、各人が認め合う関係性が重要でしょうという立場)。夫の実家では台所に立つことはなく、ただただお喋りしている。私の好きなカテゴリの話が夫両親も好きなので、話は白熱する。映画、音楽、文学、評論…音楽はともかく文学と評論には夫はほぼ無関心で、私と夫両親だけで盛り上がっている。これぞ僥倖。

 3日は私の実家。母の作るおせち、お雑煮などなど堪能。

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 姪5歳と小麦粉ねんどで遊んだ。あんきもポン酢を一緒に作った。姪はおしゃべりで社交的、色々なものをよく見ている人だ。昨日は姪をふとしたタイミングで褒めたところ、にこにこしているので、「嬉しい?」と聞いてみた。彼女は「嬉しいけど、恥ずかしい気持ちがたっぷりある」と答える。「うん」ではないところがいい。自分の気持ちをできるだけ正確に言語化したい欲求があるようだ。素晴らしいことだ。白と黒の間にある無限のグラデーションをできるだけ言語化する技術は、その人を助け、守ると思う。言語化をあきらめないで、つづけてほしい。

 お正月に親族に会おうと思えること、楽しみに思えること、実際に会いに行けること、すべてが、決してあたりまえではない。

 今年も健康で過ごし、楽しい1年だったと年末に思えるよう取り組む。いくつか具体的な目標を立てて、ちゃんと達成する1年にしよう。